【2005〜2006年】  【2007年】  【2008】

【06年11月】
「来院の際のお願い」
皆さんは動物病院に動物を連れて行くときはどどのようにして連れて行っていますか?
普段家ではしないような行動にでて思わぬ事態になることを想定して連れてきてください。
犬はキャリーバッグに入れるか入らない大きさの犬は必ず首輪、リードをしてください。
待合室で自由にすることは避けましょう。 「うちの子はおとなしいから大丈夫」と思っていても突然入ってきた見知らぬ人や動物に驚いて開いた扉から外へ飛び出したりケンカをしてお互い被害者にも加害者にもなってしまいます。

猫もやはりケャリーバッグに入れるか洗濯ネットなどに入れて、突然暴れたりしないようにしてください。 鳥やハムスターなど小動物では可能であれば飼っているケージごと持ってきてください。 その際「病院に行くから」と直前に掃除したりせず 「そのまま」持ってきてください。 便の様子やケージの中にあるものからも得られる情報は多いからです。
ケージごと持ってこられない場合は直接手やタオルでくるんで連れてくるのではなく小さな箱状のものを用意して来て下さい。 またその時にこれからの寒くなる時期に注意したいのは「保温のため」と箱の床に使い捨てカイロを敷いてくることがありますが使い捨てカイロは周りの酸素と反応して熱を出すものですから密閉容器に入れると酸素が薄くなってしまいます。
またカイロが箱の床一面にあると具合の悪い動物は逆に箱の中が高温になりすぎて来院したころには最悪の場合死んでしまっていることもあるのでカイロを使用する際は箱の外側の側面かフタに貼るようにして来てください。

いずれにせよ具合が悪くなってから間に合わせのように準備が整わないままつれてくるのではなく、キャリーケースなどは事前に用意しておいておくのも飼い主としての責任ですね。


【06年9月】
「命の責任」
動物を飼うことに「愛護」「エゴ」「飼い主の責任」がよく問題にされることがあります。
先日女流作家の「子猫殺し」が話題になりました。 猫の生命を産むことの権利を奪うことは人間のエゴであるので不妊手術には反対し、しかし生まれてくる子猫を捨て野良猫とすることは社会人として無責任である、保健所に連れて行くのは自らの手を汚さないことで責任の重さから逃避している、ゆえに自らの悪行を心にとどめ飼い主の責任として生まれた子猫を自らの手で殺してきた、とする彼女の告白が大きくメディアで取り上げられました。
たしかに「自然が一番」「誰かが面倒をみてくれるだろう」と飼い主としての責任を放棄し不妊手術もせず生まれた子猫を捨てて野良猫を増やす人よりは彼女は責任感をもっていると言えるかもしれません。 だからといって彼女の行動に賛同はできません。
自分で飼えない数なら里親を探す方法もありますし、そもそも生まれた子猫を全く飼う気がないのならやはり不妊手術を考えるべきだと考えます。 人間のエゴといっても子猫が産まれないように不妊手術をするのと生まれた子猫を殺すのとではまるでエゴの質が異なるでしょう。


動物病院が不妊手術を勧めるのは単に子供ができないようにする目的だけでなくオスなら精巣の腫瘍、肛門周囲の腫瘍の予防、メスなら子宮疾患や乳腺腫瘍の予防といったその子の病気の予防の意味も大きな目的です。 病気になっても自分の不調を訴えることのできない動物たちを事前に守るのは飼い主に絶対に必要な責任です。

「自然のかたちで」というのなら極論は飼わなければいいのですから・・・


【06年7月】
皆さんは家族の一員として動物を飼っているはずなのに時として自分達へ害をなすものなのではないかと疑念を抱かれることがあります。 「現在妊娠中なのですが動物を飼っていて大丈夫ですか?」という質問を受けることがあります。極端なものでは「親戚など周りの人が『妊娠しているのに動物を飼っていたら流産する』」「卑しい子が生まれる」といわれて今飼っている動物を手放せと言われ悩んでいる、といった切実な相談を受けることもあります。
妊婦さんと動物とのいわれはほとんどが迷信的なものです。 その中で「妊娠中に動物がいると流産する」ということに関してはトキソプラズマという妊婦さんに感染すると流産を引き起こす可能性のある寄生虫の話で猫が宿主でありそれが拡大解釈されていって猫に限らず「動物を飼っていれば流産する」に変わったものと考えられます。 そのトキソに関しては血液検査をして妊婦さんや猫がすでに抗体を持っていれば問題ありません。 でも衛生面から糞の始末などはご主人がしてあげましょう。 そして実は猫よりも感染した豚肉を充分に加熱しないで食べる方が気をつけないといけません。(同じまな板でサラダを作ることも避けてください)。

人畜共通伝染病といって人にも動物にも感染する病気はたしかにありますが・掃除をまめにする・動物を触った後は手を洗う・口移してえさをあげないなど当たり前のことでほとんど防げます。 ニュースで騒がれた「鳥インフルエンザ」なども一般家庭に飼育されている鳥ではほとんど危険はないとされています。 健康診断に言った時などに獣医師に話を聞いて迷信や不確定情報に惑わされず安心して動物と生活できるようにしていきましょう。
ただ、一人目のお子さんを妊娠中の方が初めて動物を飼うことは、病気とは別次元の話で子育ても動物飼育も初めてづくしで肉体的精神的な負担を考えるともう少し余裕ができるまで我慢した方がいいかもしれませんね。


【06年5月】
暖かい日が続くようになりました。 時には暑いとさえ感じる日もあり、こんな季節に気をつけたいのが「熱中症」です。
「夏の話じゃないの?」と思うかもしれませんが散歩中の犬ではなく室内飼育が主の小動物では今の時期からその危険は出てきます。朝はポカポカ陽気だったので、と日当たりのいい窓際にケージを置いたままにしていると、特に亀やハムスターなどでガラスやプラスチックのケースでは温室のような状態になり昼には想像以上にケース内で温度が上がってしまいます。
それまでは普通にしていたのに気がつくとぐったりしている、呼吸が速い、体が熱いなどの症状が出たら危険信号です。
熱中症になったときの対処は犬や猫なら濡れタオルでくるんで体を冷やして病院に連れて行くことになりますがウサギやハムスター、チンチラ、亀などの小動物は熱中症になったら発見した時点ですでに死亡しているかまだ生きていて病院に駆け込んでもまず助かりません。

病気ではなく飼い主の不注意による事故で動物を死なせてしまうのはなんとも悲しいことです。 ・日当たりのいい場所にケージを置く際は必ず日陰の部分を作っておく。 ・十分な水分補給を確保しておく。・日当たりのいい場所に出したまま出かけたりしない。 など熱中症になってからの対処よりも事故予防を第一に心がけてください。


【06年3月】
記録的な寒波が押し寄せた冬も終わり暖かい春がもうすぐ訪れます。
動物の飼育において春は予防の季節でもあります。
春におこなう予防の主なものとして狂犬病ワクチン、ジステンパーなどの混合ワクチン、心臓へ寄生する犬糸状虫などがあります。 狂犬病ワクチンは生後
90日零以上の犬には接種・登録が義務付けられています。
現在国内では狂犬病発症はありませんが海外ではまだ存在しており今後も発症のない状態を続けるために接種・登録を行っていきましょう。 公園・学校などの集合注射は
西宮市4月の間だけですが各動物病院では1年中実施しています。
ワクチン接種だけでなく健康について質問・相談などのある方は動物病院での接種をお勧めします。 (犬以外の動物への狂犬病ワクチン接種は基本的に不要ですが海外に連れて行く時に必要になることがあります)混合ワクチンは犬、猫、フェレットに接種します(フェレットは日本では基本的に犬用ワクチンを使用します)。 俗にフィラリアと呼ばれる犬糸状虫は蚊によって媒介される寄生虫で蚊の出る季節(
4〜11月)が予防の期間で予防始めに簡単な血液検査をおこない、期間中に毎月1回の予防薬の投与を行います(投与方法は内服、注射や背中に滴下する薬があります)。
各予防についてはかかりつけの動物病院で長所・短所をよく相談の上、健康維持のため実施していきましょう。


【06年1月】
この冬は記録的な寒波が押し寄せ各地で大雪となりましたが動物を飼う上で冬は体調を崩しやすく注意する必要がある季節です。 動物は体毛で覆われているので多少の寒さは平気でしょうが気温が下がり空気が乾燥すると粘膜も乾燥しウイルスなどに対する抵抗力も低下します。
高齢の動物では急な冷え込みの時は心臓や呼吸器の疾患は症状が悪化する可能性も高くなります。元気食欲の低下や空えずきのような咳をすることがみられる時は注意してください。
暖房で部屋は暖かくても冷たい空気は下にいきますので同じ場所でも人間が感じるよりも動物のいる低い場所のほうが寒いことがあります。 ハムスターや鳥、爬虫類などの小動物には特に保温に気を配らなくてはいけません。 「冬眠しているだけだろう」と安易に考えない、そもそもその動物は冬眠する動物なのか?その動物本来の生態をよく知り、寒さ対策を講じる必要があります。 来院の際もやはり保温に気をつけなくてはいけません、小さな箱の底一杯に使い捨てカイロを敷いていると熱に対する逃げ場がなくなり逆に暑くなりすぎたりカイロの成分の化学変化により酸欠になってしまうことがあるのでカイロは箱の側面かフタの外に貼り付けるようにしましょう。


「ただ寒いからじっとしているんだろう」と思って病気を見落としていたり「具合が悪そうだけど今日は寒くて余計に身体に悪そうだから病院は明日にしよう」と来院を遅らせたりしているうちに病気を悪化させてしまうことになるのでよく注意して早め早めの健康診断を心がけてください。


【05年11月】
近年のペットブームにおいて動物はペットではなく家族の一員となっていることでしょう。
当院に来院される飼い主さんの話を聞くと多くの愛情を注がれていることを感じます。
しかし、時折「間違った愛情」を注がれることでかえって病気になってしまう動物も少なくありません。
またこれから動物を飼おうと思っている人もいざ家に迎え入れてから「こんなはずじゃなかった」
とならないようにしておく必要があります。


<飼う前に確認しておくことは?>
その動物の生態を知る:飼い方を知らない、間違っていることで病気になることは多いです。
特に小動物はその自然での生息地環境や食事、何年生きるのか?を調べ、自分の家でどこまで再現・維持できるかを
考えてください。 一日中留守がちな家で散歩の必要な犬を閉じ込めたり虫を食べる動物を「虫を触るのがイヤ」と
他の適当な餌で済まそうとするのはいくら飼いたいと思っても「その人はその動物を飼うのには適さない」ということです。

<家に迎え入れてからしていくことは?>
動物病院に健康診断に行き、信頼のおけるかかりつけをみつけておきましょう。
そこでワクチンや予防などについて聞いて下さい。 今は動物の保険などもあるので加入しておくこともいいでしょう。


「質問するのが恥ずかしい」と躊躇される方もいるかもしれませんがケガの子を治療するだけでなく
「病気にならないようにする」のも私たち動物病院の大切な役割と考えていますのでささいなことでもお気軽に相談してください。