ほっとタイムASAHI


朝日新聞の「ほっとタイムASAHI」という地域の生活情報誌に
隔月(奇数月)で800字程のコラムを書いていました。
ここではそのバックナンバーを紹介していきます(現在休刊)

【2005〜2006】 【2007】


【08年7月】

「熱中症に注意」

今年も暑い夏がやってきます。こんな季節に気をつけたいのが「熱中症」です。
犬は人間と違い汗をかくことが足の裏からしかできず、熱を逃がすのはハァハァとした呼吸が主なので
体温が上昇しやすくなっています。

また体毛が長く、色が黒い小型犬では地面に近くなりなおさら体温上昇の危険があります。
また普段室内で生活している子が焼けたアスファルトを歩くと鍛えられていない肉球が火傷を
負ってしまうこともあります。

犬以外では
外で飼育している動物はもちろん、室内飼育が主の小動物でもその危険は出てきます。
朝はポカポカ陽気だったので、と日当たりのいい窓際にケージを置いたままにしていると、
特に亀やハムスターなどでガラスやプラスチックのケースでは温室のような状態になり
昼には想像以上にケース内で温度が上がってしまいます。それまでは普通にしていたのに
気がつくとぐったりしている、呼吸が速い、体が熱いなどの症状が出たら危険信号です。

熱中症になったときの対処は犬や猫なら濡れタオルでくるんで体を冷やして病院に連れて行くことに
なりますがウサギやハムスター、チンチラ、亀などの小動物は熱中症になったら発見した時点で
すでに死亡しているかまだ生きていて病院に駆け込んでもまず助かりません。

 病気ではなく飼い主の不注意による事故で動物を死なせてしまうのはなんとも悲しいことです。
・日当たりのいい場所にケージを置く際は必ず日陰の部分を作っておく。

・十分な水分補給を確保してお
・車内や日当たりのいい場所に放置しない。
・出かける際にはエアコンをつけるか最低限、換気扇を回して部屋に熱気がこもらないようにする、

など熱中症になってからの対処よりも事故予防を第一に心がけてください。


【08年5月】
「家の中は危険が一杯」

寒い冬も過ぎ暖かくなってくると動物たちも活動的になります。
動物を飼う際、種類により大きさは様々ですが基本的にはケージで飼っている方が
多いと思います。そして家の中でもできるだけ自由にしてあげたいと一日のうちの
いくらかの時間をケージから出してあげている方もいるでしょう。

小鳥などでは好きな時に出入り出来るようにケージの扉を開放している方もいるでしょう。
しかし家の中には危険が多く潜んでいることに注意してください。
鳥類では飛んでいて壁や特に外に向かって窓にぶつかり、落ちた際に足や翼を骨折。
部屋を出ようとする飼主の後を追いかけて扉に挟まれる。
ハムスターやフェレットなどの小動物はタオルや衣類の中に隠れて遊んでいる時に
気づかず踏んでしまう。カーペットに爪が引っかかり取ろうともがいて爪が取れたり
足を折ったりする。

ケージから動物が出ているのを知らずに別の人が部屋に入ってきて踏んでしまう。
フェレットは家具などの隙間に入るのが好きなのでそこに落ちている小さなもの
特にゴムやスポンジなどの異物の誤食。

探索好きの動物ではゴミ箱をあさったり机の上に置きっぱなしの人間用の薬を飲んだり
毒性のある観葉植物をかじることでの中毒。
げっ歯動物に多いのは電気コードをかじっての感電とその時口に火傷を負ってしまう。
暖かくなるこの時期からはマンションなどで亀をベランダに出していて排水用の隙間から
転落してしまったり長時間日光浴をさせていて思った以上に高温になり熱中症になる。
(よく爬虫類は低温に気をつけるようにいわれますが高温になり過ぎた時の方が
致死率が高いです)。

踏んだり転落などの外傷的な事故は程度によっては今まで元気だった子を一瞬で
亡くしてしまう危険もあります。予防はとにかく目を離さないこと。
少しの油断で取り返しのつかない結果にならない様、十分注意してください。



【08年3月】
「飼い○○に手を咬まれる」

皆さんも動物を飼っていると一度くらいは咬まれた経験はお持ちだと思います。
その原因はじゃれつくあまりだったり何かに驚いた勢いだったり嫌がっているのに
無理強いをしたことによるものだったり・・・。
病院ではいつもはされないようなことをされる不安から攻撃的になることも少なくはなく、
私も気をつけてはいても時として咬まれてしまうこともあります。
犬、猫、フェレット、ハムスター、インコ、オウム、亀、イグアナ・・・
まだ子供ですが豹に太ももを咬まれたことやプライベートでマムシに咬まれて入院したこともありました。
その痛さ、傷の深さは動物によっても様々で犬猫などは刺さるイメージですが平たい前歯を持つ
げっ歯類はえぐられるような傷になり特にプレーリードッグは縫合が必要になることもあります。

飼主さんには勲章のように見ていただきつつも私たちの仕事の場では咬まれることは
むしろ恥じなくてはいけないことで次は咬まれないように動物ごとの扱い方を試行錯誤する日々です。
犬以外の多くの動物ではしつけで咬むのをやめさせるのは困難で、
咬もうとする動物に対し如何に咬まれないようにするか、という技術が必要になってきます。

診察の時、動物の正しくない扱い方のために咬まれそうになる飼主さんを見かけることがあります。
正しくない扱いは動物を不安にさせ、少々の傷は「しょうがないな〜」で済みますが
一度深く咬まれると飼主さんに恐怖心根付き、その警戒心が動物に伝わり更に咬まれそうになる
悪循環が生まれその後飼育を困難にして最悪処分するような悲劇を招きます。

病院では、なぜ咬まれたか?どうすれば咬まれないようにできるか?を一緒に考えていけるような
飼育相談も行っていますので困った時は遠慮なく質問してください。
動物種によっては咬まれることで感染する伝染病があります。
しかし通常健康な飼育動物に咬まれて伝染病に感染することは極めてまれなので過剰な心配は
不要ですが多くの場合化膿してしまうので消毒は十分に行いましょう。




【08年1月】
「小動物の定期健診」

冬場は動物たちも体調を崩しがちな季節です。
「自然では雪が降っても生きているんだから大丈夫だろう」と思う方もいるかもしれませんが、
自然界では穴を掘ったり仲間同士で身を寄せたりして寒さをしのぐ方法をとっています。
しかし家庭で飼われている場合は狭いケージに入れられているため移動できる場所が限られていて
更に単独飼育となると保温効果は格段に落ちてしまいます。気をつけないといけないのは
「動物は体調の悪いのを隠す」ことです。それは犬や猫より小動物は更に顕著といえます。

例えばウサギは体調を崩した時、下痢や便秘などまず便の様子がおかしくなって、
それから食欲がなくなって元気がなくなります。鳥では飼主さんが鳥に気づかれないように見た時、
羽を膨らませていて飼主さんに気づいたら動き出す、という事が徐々に膨らんでいる姿を見ることが
多くなってきます。「止まり木から降りてしまってしんどそう」という状態になってしまうと
原因はともかく相当に悪い、そうなってから来院した場合、検査はもちろん時として体重を量るために
ケージから出そうと持っただけでショック死しかねない程の状態と思ってください。

ハムスターでは太っていると思っていたら実はお腹の中に大きな腫瘍が出来ていた、ということも
少なくありません。「小動物は病気になるとすぐ死んでしまう」と言われますが決してそうではなく
飼主が病気と認識するのが遅くすでに手遅れになっている場合が多いからそう言われるのです。

近くに動物病院があってもそこが必ずしもそこが小動物を診察できるとは限りません。
日頃から電話やネットで自分の動物が診察できる病院を確認してかかりつけの病院を見つけて
定期健診に行くことを勧めます。






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